潜水医学博士・大岩弘典先生逝く

『マリンダイビング』副編集長の後藤です。

今回は悲しいお知らせなのですが・・・
タイトルのように潜水医学博士の大岩弘典(ひろみち)先生が6月24日、天に召されました。

私が19日まで出張だったため、
先生には19日に原稿が届くようにお願いしていたのですが、
(えっと、実は出張前に届くようにお願いはしていたのですが!)
先生から、20日「あと少し待って」との伝言が。
そして、21日に果たして原稿は届き、実際に電話でではありますがお話した限りでは
とてもお元気で、「来月はこの続きを書くから、待ってて!」とのことだったのです。

それが最後になってしまうとは・・・。

大岩先生は、
日本大学医学部を卒業後、東京医科歯科大学講師(医学部衛生学教室)を経て
防衛庁(当時)に入り、海上自衛隊潜水医学実験隊研究部長に。
その後、司令を経て、海上幕僚幹部主席衛生官、海将補に。

海上自衛隊トップの幕僚長、副幕僚長の次にくる何人かの幕僚幹部の一人だったというわけだ。

科学技術庁(当時)のシートピア計画(1969-1972)で、
本邦初の水深30m海中居住の、潜水医学責任者を担当したり、
水中処分(EOD)員用半閉鎖回路式潜水器の研究開発を担当したり、
潜水艦救難艦「ちよだ」の実用化を目指す、450m深海飽和潜水を指揮し、達成するなど
(※以上は、弊社より刊行している『新しい潜水医学』(大岩弘典著)の著者プロフィールより)。
潜水医学の分野で大活躍されてきた方。

1970年代の『マリンダイビング』のバックナンバーにも大岩先生のことが掲載されている。

そんな大岩先生が海上自衛隊を勇退なさり、
『マリンダイビング』で連載を始めていただいたのは、1999年のこと。
当時の担当は、ほかの編集部員がしていたのだが、
先生からいただく難解な原稿のゲラをみんなで回し読みをしては、
できるだけ誰もがわかるように校正していくという難解な作業を手伝っていたものだ。
でも、潜水医学の知識がほとんどない私たち編集部が
ものすごく勉強させていただいた時期でもある。

その連載が一冊の本になったのが2005年。
『新しい潜水医学』というものだ。

レジャーダイバーが増加し、実際にダイビングをしている人が増え、
潜水医学もまた発展しているということで、
大岩先生の学究意欲はさらに増し・・・
『マリンダイビング』での連載はとどまることを知らなかった。
その4年後には、またまた連載をまとめた『事故を起こさないための潜水医学』を発行。
この4年の間に、私は編集担当となり、この一冊の編集にも携わらせていただいた。
当時のことを思い出すと・・・仕事ではあまり徹夜をしない私も、何夜も徹して作業をしたなぁ。
困っているときに、大岩先生が
「じゃ、こうしましょう」と
テキパキとまとめ直してくださったのが印象深い。

潜水事故や減圧症を引き起こすことなく、いかにレジャーダイバーが安全に楽しめるかを
常に考えていてくださって、
その真っすぐな姿勢に、ただただついていった私だった。

これが終わる頃に、先生が
「減圧症にならないための一冊の本が出したい」とおっしゃり、
『マリンダイビング』の連載を開始。
それを平成24年4月だから・・・4年ちょっと前にまとめたのが
『レジャーダイバーのための潜水医学~減圧症にならないために』。

連載をスタートしたのはいいけれど、
途中で私が体を壊して退職。が、すっかり元気になって出戻って帰ってきたときに
「プレゼントを用意しておいたよ。そろそろ一冊分、ゴット姉さん、仕事しようよ」
と、大岩先生が大きな笑顔で迎えてくださったのが、この本だ。

残念ながら弊社は少人数で仕事をしているので、
月刊誌の編集をしながらの(それもメッチャ少人数なので、大変なんだけど)、
大岩先生の一冊。
その前の本のときもそうだったが、また徹夜の日々が続く。
進行もめちゃくちゃスピーディーで、大岩先生にも「明日までにここまで校正をお願いします!」
なんて、無理を言ってしまった。
でも、いつも「わかりました、わかりました」と、にこやかに返事をしてくれる大岩先生に
どれだけ助けられたか・・・。

たぶん海上自衛隊にいらっしゃるときはきっと、すごい猛者だったんだろうなぁ・・・と思いながら、
29日に執り行われたお通夜に参列すると・・・

式場には若い頃のお写真が。
大岩先生1
カッコイイじゃないですか!

お写真の上に飾られていたのは
平成17年(2007年)に防衛功労により瑞宝章を受賞されたときの大きな賞状が。
このとき、皇居の近くにご夫婦でお泊まりになって準備されたのだそうだが、
とっても大変だったとうれしそうにおっしゃっていたなぁ。

また、数々のご活躍もされてたようで、たくさんの記念品も式場に飾られていた。
大岩先生2

さらに、ご家族の方が、飾ってくださっていたのが、『マリンダイビング』の最新号の連載や
先生の著書も飾ってくださっていた。
大岩先生3


今のところ、まだ本当に信じられない気持ちでいっぱいで、
8月号の、大岩先生の最後の連載の校了したのだが、
先生に「校正してください!」とメールかFAXをしてしまいそうだった。

先生が手土産を持って(本当にいつも美味しいお土産を持ってきてくださっていた)
編集部にひょっこり現れる気がする。
マリンダイビングフェアにいらして、
「ゴット姉さんはいつも忙しいからなぁ。たまにはご飯に行こうよ」と
スケジュールびっしりで身動きの取れない私を困らせるような気がする。


私としてはここのところずーーーーーっと忙しくて
感情の感度がかなり鈍くなっている。
『マリンダイビング』8月号を校了したら、ちょっと一息つけるのだが、
そのときに、大岩先生がいらっしゃらないことがずっしりと心にのしかかってくる気がする。


それにしても、いつもブレないプロとしての立派な姿勢は見習いたい。
ダンディでオシャレでもあったのは、愛する”ワイフ”の影響だったのに違いないけれど。

そちらの世界でも楽しい人生を送ってくださいね。
私は「次の分はちょっと待ってて」とおっしゃっていた次号の原稿を
いつまでもお待ちしてますから!

大岩弘典先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

後藤ゆかり



P.S. 『マリンダイビング』8月号(7/9発売)の大岩先生の最後の連載も
お見逃しなく!

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2016-07-04(Mon)
 

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